君に告げよう
「まだ意識が戻っていない。意識が戻って病状が回復したら、警察の事情聴取を受けることになっている」
「……警察……」
このまま姉さんの意識が戻らなければいいのに、と、思った。
深い意識の中で眠り続ける姉さんは現実を知らない。
永輝くんが、もう二度と姉さんの前に現れないこと。
柚羽さんまでもが死んでしまったこと。
――そして……。
姉さんと呼んでいた僕が、自分の気持ちと葛藤していること。
永輝くんが、二度と目を開けないのは誰のせいなのか。
姉さんが永輝くんに執着しなければこんなことにならなかったのに。
憎しみさえ感じるけれど……。
同時に、自分さえも憎んでしまう。
どうして止められなかったのか。
どうして、腕ずくででも姉さんを引き離そうとしなかったのか。