君に告げよう
けれど、僕を止めるのは火葬場の関係者だけで。
遺族は誰一人として止めなかった。
「……優美ちゃん。これで最後だよ」
振り返って優美ちゃんに言った瞬間、声にならない嗚咽がしんとした炉前ホールに響き渡った。
棺に向かい直り、ゆっくりと蓋を開けると……。
『遼太郎……――』
そこには、物心ついた時からずっと一緒だった永輝くんが眠っていた。
そっと頬に触れる。
温度のないその感触は、ドライアイスの冷気に包まれ、冷たさを増していく。
いつも、僕を助けてくれた。
いつも、勇気づけてくれた。
それなのに僕は……、永輝くんに何もできなかった。