君に告げよう
優美ちゃんが結婚して家を出た後、永輝くんが一人で住んでいた結崎家。
単身赴任中の伯父さんに付いていった、永輝くんのお母さんが家に戻ってくることになった。
家という大きな財産。
売り払うことも、誰かに貸すことも、そのまま無人の家にすることもできなかったようだ。
四十九日を終えて永輝くんの遺骨は結崎家を後にし、暗くて狭い墓の中に移されて行った。
死の間際、永輝くんと姉さんの間に何が起こったんだろう。
柚羽さんが永輝くんと同じ日に死んだのは偶然なんだろうか。
あの指輪は……?
知りたいことは山ほどあった。
でも……。
同時に、知ることが怖かった。
真実を知ってしまったら、僕はどうするんだろう。
ただでさえ――……。
永輝くんの死に姉さんが絡んでいることで、「姉さんさえいなければ」という気持ちを抱いているのに……。