君に告げよう
何も聞きたくない。
何も見たくない。
もう、このままそっとしておいてほしい……。
僕は、永輝くんと姉さんをよく知るヤツらとの接触を完全に絶つことにした。
啓介さんや優美ちゃんとも……。
そうやって一人で過ごす毎日は、ただ逃げているだけだと言われるだろう。
疑問が残っているのに、真実に目を背けて……。
だけど、それでいいんだ。
それで……――。
「遼ちゃん、あんたに客が来てるよ?」
大将からようやくスープの仕込みを教わるようになった頃。
永輝くんの死から三ヶ月経っていた。
ピークを終えた厨房で、スープの仕込みをする大将の側にいた僕をおばちゃんが呼びにきた。