君に告げよう

厨房を出て行くと、店の入り口に制服を着た男子高校生が一人立っていた。

そいつは、目の前のテーブルでギョウザを頬張りながらビールを喉に流し込んでいる、常連のおじちゃんたちを興味深そうに眺めている。



「……なに?」



僕はそいつに近づくと、ぶっきらぼうに声をかけた。


マジメを絵に描いたような、普通の高校生。

制服も校則通りに着こなし、髪の毛も染めていない。

僕とは全く縁のないヤツだ……。



「あ……、すみません、突然。仕事中に……」



そいつは申し訳なさそうに頭を下げる。

見ず知らずのヤツにいきなり頭を下げられるなんて変な気持ちだ。



「……ていうか、誰?」


< 270 / 301 >

この作品をシェア

pagetop