君に告げよう

それにはきっと、『彼女』の名前が刻まれている。

そして、その持ち主は……。



「永輝くん……」




危険なカーブが続く道。

いつもなら慎重に運転するのに、今の僕にはそんな余裕さえ持ち合わせていなかった。



『ここは事故が多いから気をつけるんだぞ』



初めて永輝くんのバイクの後ろに乗ったとき。

永輝くんがそう教えてくれた。

気をつけろって言った張本人が逝ってしまうなんて、皮肉なもんだ。


ねぇ、永輝くん。

僕の勘は正しい?

もしも真実に辿りついたら、僕は姉さんを許すことができるのかな。

永輝くんと柚羽さんの最期を、少しは救われたような気持ちで受け止めることができるのかな。


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