君に告げよう
最終章


深い眠りについていた姉さんが目を覚ましたのは、それから間もなくのことだった。



「……永ちゃんは……あたしが殺したようなものよ」



病院に駆けつけた僕を見て、姉さんは天井の一点を見つめながら呟くようにして言った。



「あたしね、事故に遭った日の朝、柚羽さんのアパートに行ったの」



姉さんの口から語られる、あの日の真相――。


柚羽さんとの接触を絶たれて、抜け殻のようになってしまった永輝くん。

そんな永輝くんを解放しようと決心して、姉さんは彼女のアパートに行ったという。


だけど……。



「あたしも弱い人間ね。柚羽さんの部屋で灰皿を見つけた瞬間、『永ちゃんがここに来てたんだ』って思ったら、すごく腹が立ってきて……」


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