君に告げよう

重い言葉。

姉さんがそう思ったように、僕も思う。


どうして、僕じゃないんだろう。

どうして、僕を見てくれないんだろう。



「……ねぇ。柚羽さんは……どうしてる?」

「………」



姉さんは目を覚ましたその日に、啓介さんから永輝くんの死を聞かされた。

でも、遠い意識の中で悟っていたのか、冷静に受け止めたという。

柚羽さんの死については、これまで誰一人として触れはしなかった。



「柚羽さんは……、永輝くんと一緒にいるよ」



僕の言葉を聞いた姉さんは呆然とする。

でもそれは、一瞬のことで。

悲しい目をして、病室の窓の外に広がる澄んだ空を見た。


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