君に告げよう
「……竹島くん」
ズボンのポケットに手を突っ込んだまま席に座り、窓の外をぼんやりと眺めていた僕に茅島悦子が声をかけてくる。
茅島は僕とは正反対の明るい性格で、友達も男女問わず多かった。
だからといって、クラスのリーダー格ってわけじゃない。
偉そうに威張ってるわけでもない、嫌味のない性格をしていた。
「ねぇ、今までのって正直…殴られ損じゃない?」
僕の隣りの席に座ると、茅島はにこりと笑った。
「何それ」
「だから。竹島くんが最初にやられた時にビシッて言えば、殴られることもなかったのにって……」
「別にどうでもいいよ」
興味なさそうにそっぽを向いた僕に、茅島ははぁーっと溜息をつく。