君に告げよう

「やめとけ。永輝くんには彼女がいるから」

「……そっか…。そうだよね……」

「それに……」



無理して笑う茅島に胸が痛んだけれど、僕はさらに続けて言った。



「茅島と永輝くんじゃ住む世界が違うから。一般人のおまえには見向きもしねぇよ」

「そんなこと……分かってる」

「早いとこ諦めたほうがいいぞ」



いつだったか……。

永輝くんがぽつりと僕に言ったことがあった。



『遼太郎――。

もしもおまえがこの世界に足を踏み入れたら、一般人の女だけは好きになるな。

いつかきっと、女が標的になる日が来るから……』


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