君に告げよう
『もし好きになったら、諦めないといけないの?』


『――おまえが、身体張って女を必ず守れるっていうんなら好きでいればいい』



この時の僕は、誰かを好きになったこともなかったし、ましてや身体を張ってまで女を守ることなんて想像もつかなかった。


たとえば、僕の目の前にいる茅島。

茅島を好きになったとして……。

僕が永輝くんと同じ世界に入ったとして……。

僕は命がけで茅島を守ることができるんだろうか。



「……竹島くん?なに笑ってんのよ」

「……いや。おまえ、太ったろ?」

「なんですって!?」



誰かを守るとか、大切な人のために身を投げ出すとか、そんなこと、13歳の僕にはよく分からなかった。

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