君に告げよう
優しい性格に加えてお人よしな面もあって……。

それに、運動が苦手で、身体を動かすことよりも机に向かって問題を解いている方が好きなタイプで……。


見た限りじゃ、相談できるような親しい友達もいない。

いつも、いつも……、教室で一人。

休み時間も、弁当食べる時も、帰る時も……。

たまにクラスのヤツがちょっとした用で話しかけてくると、あいつは嬉しそうな顔をする。


だからきっと……。

仮面を被って近づいてきた葛城たちの思惑なんて疑いもせずに、純粋な気持ちであいつらと接しているんだ。


葛城たちが本格的に動き出したら……。

伊地知は、僕のように自分で自分の身を守ることなんか、きっとできない。



「遼太郎くん。伊地知くんをちゃんと見といてあげた方がいいわよ」

「……えっ?なんで……俺が…?」

「だって同じクラスでしょう?」

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