君に告げよう
当然のように姉さんは言うけれど、伊地知と一言も話したことがない僕にしてみれば至難の業だ。



「葛城ってヤツと対等に渡り合えるのはおまえくらいだろう?」

「まぁ……そうだけど……」



永輝くんまでもが姉さんの考えに同意する。

永輝くんの言葉に反論もできず、僕は渋々と頷いた。


話がまとまると、永輝くんは「ちょっと出かけてくる」と言って立ち上がり、姉さんの方なんか見向きもせずに部屋を出て行った。



「………?」



今までと違う二人の様子に、僕は自然と首を傾げた。

いつもなら……。

永輝くんが姉さんを送っていくか、それが出来ない時は僕に「送って行ってくれ」って言うのに……。


すぐ帰って来るからなのかな?と思った時、姉さんがぽつりと呟いた。

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