君に告げよう
理解できない男と女の関係。

僕は顔が火照るのを感じて咄嗟に俯いた。



「女の勘違いってのは怖いぞ。笑って済まない時もあるからな」

「……うん……。でも、姉さんは大丈夫なんじゃない?」

「そうか?このままダラダラ続くと後々ヤバイ状況になるって、あたしは思うけどな」

「そうかなぁ……」



深刻に考える優美ちゃんに対して、僕は「考えすぎ」だと軽く思っていたし、気にも留めなかった。

そして、この時の優美ちゃんとの会話を、後になって何度も思い出すことになるなんて思いもしなかった。



もしもこの時……――。

僕が永輝くんと姉さんの間に入って、二人を完全に引き離すことが出来ていたら……。

永輝くんは『彼女』と幸せになれたかもしれない……。

そして、誰も傷つかずに済んだのかもしれない……。

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