君に告げよう

*別世界*



永輝くんと姉さん――。

別れたはずの二人なのに、姉さんは以前と変わらず毎日のように永輝くんの家にやって来る。

そして、永輝くんの部屋のドア越しに聞こえる『情事の物音』。



「永輝くん、本当は姉さんと別れてないんでしょ?」



あまりにも理解できない男と女の関係。

僕はストレートに永輝くんに聞いた。



「……別れたよ」



今日もまた啓介さんの家に行くことになっている永輝くんは、鏡の前で身支度をしていた。


鏡越しにちらりと僕を見る永輝くんの視線。

どこか冷めていて、本当に姉さんを好きだったのかとさえ疑ってしまう。



「じゃあさ、なんで姉さんと……」


< 47 / 301 >

この作品をシェア

pagetop