君に告げよう
永輝くんの言葉は絶対だ。
僕は言われたとおりに、永輝くんの家から一歩も外に出なかった。
永輝くんが出て行って一時間もしないうちに、優美ちゃんが学校から帰って来た。
「うぉっ!びっくりしたぁ!」
夕日がすっかり沈み薄暗くなった永輝くんの部屋。
そこから突然出て来た僕に驚いた優美ちゃんは、腰を抜かしたように座り込んだ。
「てめっ、びっくりさせんな!」
立ち上がった優美ちゃんから容赦なく殴られる。
殴られても全く反応しない僕を見て、優美ちゃんは「どうした?」と顔を覗き込んだ。
「……ユウヤって人が拉致られたって。永輝くんが助けに行って……」
「は?ユウヤが?……つーか、啓介は知ってんのか?」
優美ちゃんは真っ青になって僕の両腕を掴み、確かめるかのように前後に激しく揺らす。