君に告げよう

そう言って、永輝くんの母親は迷わず夫に付いて行き、伯父さんも「そうだな」と反対さえもしなかった。


当時、優美ちゃん15歳。永輝くん13歳。


まだ中学生だった二人は、そんな両親に泣きつくわけでもなく、冷ややかな目で見ていたんだ。



『……何を考えてるんだ、兄さんも陽子さんも!』



そんな実の兄と兄嫁の行動を知った父さんは激怒した。

僕の家は父さんだけが転勤先に行く単身赴任という形を取り、母さんは家に残った。

永輝くんと優美ちゃんのことを心配した母さんは、二人の運動会には弁当を作って僕を連れて行き、三者面談にも親代わりとして顔を出した。



『おばちゃん。俺と姉貴のことは心配しないで』



永輝くんがそう言ったのは、優美ちゃんが高校に入学して間もない頃だった。


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