君に告げよう

昔のことを思い出しながら、優美ちゃんと一緒に病室に戻る。



「永輝くん、コーヒー買って来たよ」

「……ありがとう」



まだベッドから起き上がれない永輝くんに、ストローを差した缶コーヒーを手渡す。

唯一、自由の利く左手でコーヒーを受け取った永輝くんは、ゆっくりと一口、コーヒーを飲んだ。


あの一件が終わってから永輝くんは多くを語らない。

啓介さんが捕まったこと、ヤツらが潰れたこと、全てを知ってもなお、口を閉ざしたままだった。


ぼんやりと病室の窓の外を眺める永輝くんの視線の先には、澄み切った青空がどこまでも続いていた。



「……あ……」



開けっ放しになっている大部屋の病室のドアの方を見た優美ちゃんが声をあげる。

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