君に告げよう

「――永輝。総長に報告もせずに勝手に動いたな」

「……すみません」



僕が差し出したイスに腰を下ろすなり、男は険しい表情で話を切り出した。

会話からして、永輝くんよりもこの男の方が先輩なのだと僕は悟った。



「総長は高校退学のうえ、年少入りだ」

「……自分は覚悟できています」

「そうか。……おまえの処分が決まってな。それを伝えに来た」



処分――。

その言葉と同時に、僕の心臓が鈍い音を立てた。


暴走族の世界で処分っていえば……仲間内でのリンチを意味している。

いま身動きひとつできない永輝くんの傷が癒えて退院したら、永輝くんはまた身体に傷を負うことになるんだ……。



「あの……っ…!」

< 65 / 301 >

この作品をシェア

pagetop