君に告げよう
そんなことはさせない……。
僕は暴走族のルールとか、そんなもの知らない。
だけど、永輝くんにこれ以上つらい思いをさせたくない。
「永輝くんは……!」
「遼太郎」
言葉を塞ぐようにして永輝くんが冷たい視線で睨み、僕は思わず口を噤んでしまった。
「おまえは口を出すな。黙ってろ」
僕は『でも』とか『だって』と声を出すことも出来ず、唇をかみ締めて俯いた。
「――永輝。おまえの総長就任は見送りだ」
「……はい」
次期総長という肩書きを持っていた副長の永輝くんに対する処分。
でも、それだけで終わるはずがないだろうと、僕は男の次の言葉を待った。