君に告げよう

「わざわざありがとうね。宗佑ったら病気でもないのに休むって言い出して……」

「そう…なんですか?」



顔をしかめる茅島の隣りで、伊地知の下の名前がソウスケであることを初めて知った僕は「へぇ、ソウスケっていうのか」と心の中で呟いていた。



「伊地知くんに会ってもいいですか?」

「うん、いいわよ。どうぞ」

「お邪魔します。……ほら、竹島くんも!」



なんで俺が。

そう言いかけたけれど、僕はぐっとこらえて「お邪魔します」と茅島の後に続いた。



伊地知の部屋は二階の一番奥にあった。

伊地知は……仮病を使って休んだ割には、部屋をノックした僕たちを笑顔で迎え入れてくれた。


……正確に言えば、笑顔で迎え入れられたのは茅島だけで。

その後ろにいた僕を見た瞬間、伊地知は「なんで竹島が?」と困惑したような表情を浮かべた。

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