君に告げよう
「……余計なことしないでよ。僕と葛城くんたちは友達なんだ」
洗脳されたかのように友達だと繰り返す伊地知に、僕は苛立ちを感じた。
そして伊地知が背中を預けている背後の壁を、拳で力任せに殴りつけた。
バコン!という大きな衝撃音に、伊地知がビクリと身体を震わせる。
「おまえにとって友達ってのはなんだよ。いいように利用してるヤツらを友達っていうのか?」
「………くんには……」
「は?」
「――竹島くんには分からないよ!!」
そう叫ぶようにして言った伊地知は顔をあげ、やっと僕と目を合わせた。
あまりにも必死な姿と真っ直ぐな視線に、今度は僕の方が目をそらしたくなった。
でも……、僕は伊地知の視線を捕らえたまま放さなかった。
「結崎さんや石塚さんっていう顔が広い仲間がいるじゃないか。そこから友達だってたくさんできるだろう?」
「………」
「葛城たちが初めてだったんだ!気軽に声かけてきて、遊びに行ったり、ウチに来たり……。あいつらは……友達なんだ」