君に告げよう
――何も…返せなかった。
友達なのだと強く言い切られた以上、僕は黙っていることしかできなくて。
同時に、胃のあたりがムカムカしてきて、言いようのない苛立ちに包まれた。
伊地知を責めることはできない。
責めるべき相手は、友達が欲しかったという純粋な伊地知の気持ちを利用した葛城たちだ。
「……伊地知」
力なく座り込んだ伊地知の前に、僕はゆっくりと腰を下ろした。
「もしも俺が、おまえと友達になりたいって言ったらどうする?」
「……えっ?」
「葛城たちと手を切るか?」
「……竹島くん?」
今まで僕は、友達ってものを望んだことなんて一度もなかった。
誰かと騒ぐよりも、一人でいることが気楽だったから……。
永輝くんや優美ちゃんがいてくれるから……。