君に告げよう
でも……。
誰かを守ることから始まる友達関係ってものがあってもいいんじゃないかと思えたんだ。
目の前にいる、クソまじめな優等生。
バカ正直で、汚れのない純粋な心を持ったヤツ……。
「今日限りで葛城たちと手を切れ。何かあった時は俺を呼べ」
「……うん、分かったよ」
やっと見れた伊地知の素の笑顔に、思わず僕も笑ってしまった。
永輝くんや優美ちゃん以外の前で笑ったのは何年ぶりだろう。
伊地知は子供みたいに無邪気な顔で笑い続けていた。
僕と茅島が帰る時、伊地知は僕だけを呼び止めた。
きょとんとしている茅島を気にしながら、伊地知は小さな声で言う。
「ありがとう、竹島くん」
「……んだよ」