君に告げよう
第四章

*紅い海*


永輝くんの家に着いて玄関の前で呼吸を整えると、僕の中にほんの少しだけくだらないイタズラ心が芽生えてきた。


そっと入って、驚かせてやろう。


こんな子供みたいなこと、一度も考えたことなかったのに。

伊地知という変り種の友達ができたことが、こんなにも嬉しかったのかと自分でも不思議に思った。



「……あれ……?」



永輝くんの退院祝いで家の中が賑わっているに違いないと思っていた僕は、しんと静まり返った家の中に拍子抜けしてしまった。



「………?」



もしかして、僕の悪巧みが分かったのかな。

逆に僕を驚かそうとして、どこかに隠れているとか……?


イタズラを仕掛ける側だったのに、僕はドキドキしながら靴を脱いで家の中に入る。

開けっ放しになった永輝くんの部屋のドア。

僕は足音を立てないように、息を殺しながら静かに歩き、そっと中を覗き込んだ。

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