君に告げよう
「……ごめん」
立ったまま小さな声で呟く永輝くんと、うなだれる様に座り込んだ姉さんの姿がそこにあった。
気まずい空気に僕は呼吸するのも忘れ、身動きひとつできなかった。
静まり返る家の中に、僕の心臓の音だけが大きく響いているような気がした。
「……イヤよ……」
永輝くんも姉さんも俯いていて、僕の位置からは二人の表情は見えなかった。
ただ、姉さんが泣いていることだけは分かった。
「今までどおりそばにいるから。……でも、これまでみたいな関係は終わりにしよう」
永輝くんの落ち着いた低い声が僕の耳にストレートに入ってきた。
姉さんは永輝くんの言葉を聞いて、わっと泣き崩れた。
これまでみたいな関係……――。
疎い僕でも、すぐに理解できた。