君に告げよう
『一時の気の迷いよ』
そう笑っていた姉さんの言葉。
『女の勘違いってのは怖いぞ』
まるで今起きたことを暗示していたかのような優美ちゃんの言葉。
勘違いさせたのは……永輝くんだ。
だけど……。
もしも永輝くんがキッパリと姉さんとの関係を絶ったとしても、結果は同じだったかもしれない。
「永輝くん……」
部屋に戻ると、姉さんがすがりつく様にして永輝くんを抱きしめていた。
一方的な抱擁で、永輝くんは抱きつく姉さんの身体を受け入れることなく、両腕をだらりと下げていた。
僕はどうしていいのか分からず、救急箱を持ったまま部屋の入り口から動けずにいた。
そんな僕を永輝くんが真っ直ぐに見た。