君に告げよう

「……あんなヤツらだからこそ、反撃しないんです」



僕は静かに笑いながらそう言うと、屋上を後にした。

遠くから聞こえてくる楽しそうな笑い声を耳にしながら薄暗い階段を下りる。


あんなヤツら、反撃するだけ時間と体力の無駄だ。

自分より強いヤツには手も足も出ないくせに。


見た目だけで自分たちより弱いって判断したヤツには偉そうな態度を取って、我が物顔で暴力を振るう。

あいつらにとって『俺たちに逆らうなよ』と優越感に浸れる暴力。

でも僕にとっては、ただの痴話喧嘩に過ぎないんだ……。


それはきっと、永輝くんと優美ちゃんも同じ考えだ。

ただ一つだけ違うのは、僕は反撃しないとやられる。

永輝くんたちは、軽く睨んだだけで相手は尻尾を巻いて逃げていく。


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