君に告げよう
「おまえは永輝にとって『癒し』の存在なんだからな」
「癒しって……、足手まといの間違いじゃないの?」
「……ったく…」
ぽんぽんと叩かれた後もずっと置かれたままになった優美ちゃんの手のひらが、僕の髪の毛をくしゃくしゃと乱す。
「永輝はな、おまえがそばにいてくれるだけでいいんだよ」
「そばにいるだけで……?」
「あぁ。ただ、そばにいるだけでいいんだ。私でも同じチームの仲間でもない……遼太郎、おまえの存在が永輝には必要なんだよ」
そばにいるだけで、僕は永輝くんの役に立っている……?
優美ちゃんでも、永輝くんの仲間でもない。
『僕』という人間の存在だけが、永輝くんに必要だなんて……。
そんな簡単なことで、知らずのうちに永輝くんを支えているなんて思いもしなかった。