君に告げよう
永輝くんは僕の隣りに腰を下ろし、ジャケットからタバコを取り出すと火を点けた。
まるで、自分を落ち着かせるかのようにタバコの煙を大きく吸い込み、そして溜息を混ぜたかのように煙を大きく吐き出す。
「……姉さんの様子は……?」
「……送ったあと帰ろうとしたら、また……切ったよ」
僕の吐く白い息と、永輝くんが深く吐き出したタバコの煙が絡み合う。
空めがけて上っていく二つの気体は、あっという間に空気の中に消えていった。
「これからどうするの?」
「……かんなが落ち着くまで、そばにいる。時間をかけて、少しずつ話をしていくしかないから」
「……そっか」
凍えそうなくらい寒い朝なのに、僕と永輝くんは家の中に入ろうとせず、互いの吐き出される白い息だけをぼんやりと眺めていた。
「永輝くん」
「うん?」