君に告げよう
「……別に。暇だったから」
こんなに朝早く来た理由を話したら、こいつはどうするんだろう。
ふと、そんな思いが沸き起こる。
伊地知は暖房の効いた自分の部屋に僕を通すと、温かいコーヒーを差し出した。
机の上に参考書やノートが広げられていて、朝っぱらから勉強していた様子が伺える。
「……竹島くん。何かあった?」
「は?」
コーヒーにふーっと息を吹きかけている僕に、伊地知がさっきと同じことを聞いてくる。
僕はコーヒーを少し飲んだ後、「何もない」とぶっきらぼうに答えた。
そんな僕を、伊地知はじっと見て「嘘だ」と、生意気にも反抗する。
「友達……なんでしょ?僕たち」
昨日の今日で友達になったばかりなのに。
伊地知にとって『友達』という存在は、それほどまでに貴重なものなのか。