君に告げよう

伊地知から確かめるようにして聞かれた僕は、恥ずかしいやら、くすぐったいやらで、首の周りを意味もなくポリポリと掻いた。



「……まぁ…、そうだけどさ」

「だったら話してよ」

「うーん……」



人懐っこい顔で伊地知はしつこく聞いてくる。

人には言えないようなことを共有するのが友情の証なのだろうか。

これまで友達というものをもったことがない僕にとっては、その辺がどうも理解できない。



「……竹島くんってば!」



ねだるようにして一歩も引かない伊地知に、僕は少し考えた。


伊地知は優等生だけど、男と女の事情にまで頭が回るのだろうか。

ごく普通の世界で生きてきたこいつには重過ぎる話なんじゃないのか?


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