海の花は雪
「…自分も出来れば、もう一度あの宮殿に行ってみたい…けど…」

深谷君が自分の手に巻かれた包帯を見ながら、言いよどんだ。

「深谷君の心配は、ごもっともです…魔法に何らかの問題がひそんでいるまま、もう一度使用するのは無謀です…」

修子ちゃんは目を閉じると、間を置いてから続きを口にした。

「…ですからその魔法、私が使ってみたらどうですかね?」

修子ちゃんはニッコリと笑みを浮かべて、一同を見渡した。

「修子ちゃん…」

「戸川先生…」

山形さんは考え込んだまま、黙っている…

「山形さん…前世の記憶のない私にも、魔法は使えると思いますか?」

「…それは問題ないと思います。深谷君で実証済みですが、大丈夫だという保証は出来ませんよ?」

「それでしたら大丈夫です。要は、重ねがけに気をつければ、いいのでしょう?」

「ああ…!なるほど、さすが修子ちゃん」

「ふふふ…でも、チャンスは一回きりですね…手にウロコは、ちょっと遠慮したいですからね〜」

そう言って、ニッコリと笑った。
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