海の花は雪
そのセリフを聞いて、少し深谷君がヘコんだ気がする…

「戸川先生が協力してくれるのなら、話は早いです。何せロイズよりも魔法の腕は、上の上ですからね！」

追い討ちをかけるように山形さんが、にこやかにコメントした。

深谷君が音を立てて、ヘコんだ気がする…

「ふ、深谷君、その〜なんだ」

「…大丈夫…」

「では、作戦を立てましょうか〜♪戸川先生、いつご都合よろしいですか？」

山形さんが陽気にスケジュール帳を取り出して、話を進めて行く。

「そうですね〜夏休み中でしたら…」

修子ちゃんも白衣の内ポケットから手帳を取り出すと、調べ始めた。

「あ、あの〜…」

そこで、今までずっと黙って話の成り行きを見守っていた高田さんが、柔和な笑みを浮かべて控えめに言った。

「…私も連れて行って、頂けませんか？」




「う〜ん」

固まった背中の筋肉を引き伸ばすように、自分は両腕を空に向けて伸ばした。

気づけば外はすでに夕暮れ時で、線香花火のようなオレンジ色の太陽が水平線の少し上で輝いていた。
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