海の花は雪
今後の計画を立て終え、用務員室を出ると、修子ちゃんは校舎へと戻って行った。

残された山形さんと深谷君は、下校する生徒の邪魔にならない校門の脇で、自分が自転車を取って来るのを待っていてくれた。

「お待たせ〜山形さん、この後どうするんですか?」

「そうだね〜駅まで戻って、シティーホテルでも探すかな〜」

山形さんは大きなバックを肩にかけると、ゆっくりと歩き出した。

「でしたら、うち来ますか?」

「え?いいの?」

山形さんと深谷君が、歩道を並んで歩きながら、自分の方を見た。

「ええ、オレ一人暮らしですから、好きなだけ居てかまいませんよ〜あ、荷物自転車乗せて下さい」

「本当?助かるな〜泊まっちゃってもいい?深谷君」

山形さんはバックを自転車に乗せると、ナゼか自分を通り越して深谷君にたずねた。

「…」

「?どうして深谷君に聞くんですか?」

深谷君は少し眉間にしわを寄せて、顔をのぞき込む山形さんの目を真直ぐ見返している…
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