海の花は雪
「え〜?一応、ロイズの許可は取っておかないと、と思ってさ〜」

山形さんが気軽に自分の肩に手をかけて、引き寄せた。

「?山形さん、オレ男ですよ?分かってます?」

「もちろん分かってるさ〜つくづく男なのが、残念でならないよ…僕への嫌がらせ?フレア」

「フレアじゃないですよ、今は。あ、そうだ、深谷君も泊まってく?」

ベタベタと肩に手を回してくる山形さんを押しやると、深谷君にたずねた。

「…今日は帰る…」

「そう?深谷君なら、オレと一緒にベッドに寝れそうだけどな」

自分の部屋にある、セミダブルのベッドを思い出しながら言う…

海外赴任の両親の置き土産が、部屋を占拠していた。

「え、そうなの?楽しみだな〜」

山形さんが嬉しそうに笑った。

「何言ってるんですか?山形さんは、床かソファーですよ」

「うわ〜深谷君と差、つけられた…やれやれ…やっぱりロイズには、かなわないな〜」
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