海の花は雪
「そのうち、日本でも法律出来るらしいよ?問題ないね」

「ははは…何かしたら、ソッコー追い出しますからね〜」

「ははは、僕は気が長い方でね。いつまでだって待つさ〜今回は」

「…今回?」

あきれて…山形さんと自分のやり取りを黙って聞いていた深谷君が、山形さんの最後のセリフに反応して口を開いた。

「…そのうち分かるよ、ロイズ…」

めずらしく山形さんが、ビミョーな表情を浮かべている…

「…山形さん、全部思い出したんですか?」

深谷君が別の聞き方をした。

「いや…残念ながらまだだけど、何となく所々ね」

「…また本にするんですか?」

今度は自分が、たずねた。

「うん、だから何か思い出したり、夢で見たら教えてね?」

陽気に笑う山形さんの顔を見ながら自分は、どこか漠然とした不安を感じていた。

前世を思い出していく事への、不安だろうか…?

フレア姫は、幸せな人生だったのだろうか…?

何を思い、何を考え人生を終えたのだろうか…?
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