海の花は雪
「…飲みます?」

赤いソファーに腰かけて、髪をタオルでふいていた山形さんに、良く冷えたビールを差し出した。

「お、サンキュー未成年♪」

山形さんは嬉しそうにビールを受け取ると、一気に飲み干した。

自分もビールを開けて、ガラスのテーブルの前に座ると、一気に飲み干した。

キンキンに冷えたビールが、ノドを通り過ぎる感覚が心地いい…

「ねぇハル君、君はどうして日本に残ったの?」

「え?さっき言った通りですよ?ばーちゃんの遺言で、日本から出たらいかんて…」

「え〜?あれ冗談じゃなかったの?」

「本当ですよ〜」

「理由聞いていい?」

あまり信じていなさそうな、ニヤニヤ顔で山形さんが笑っている。

「理由ですかぁ?えっと何だったかな…あれ?忘れました」

一生懸命、理由を思い出してみるが、思い出せない…

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