海の花は雪
「深谷君、いいもの見つけたよー、どうかなこれ?」

ハルが、どこかから見つけて来たのか洗面器サイズのブルーの透明な器を抱えて、反対の扉から出て来た。

「うん、ありがとうハル。その前に一つ、試したい事があるんだけど…」

「え?何?」

器の中に水を入れて来たらしく、ピチャピチャと水が床にこぼれている。

自分の方を向いた瞬間、ハルはぬれてすべりやすくなった床に足を取られ、勢い良く転んでしまった。

「うわぁっ?!」

ガン!と、すべった拍子に、ハルの足がテーブルの端をけり上げた。と同時に″カチッ″という音がひかえめに聞こえた。

「ハル、大丈夫?!」

ハルにかけ寄ると、器を持ったままの姿で、びしょぬれになっていた。

「いたた…何とか大丈夫…それより今″カチッ″って音しなかった?」

″ピー・ピー・ピー・ピー!″

いかにも警告音のような音が、どこからともなく聞こえてきた…

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