海の花は雪
「…ハルは悪くないから…どちらかと言うと、そんな仕かけを作ったイースが悪いし…いや、どのみち外に出れるらしいから…」

「イースって、科学者の?」

「うん、天才らしいけど…」

ちょっと疑いたくなった …

「うわ〜海水!?なるべく高い所へ行こう、深谷君!」

現実は、ようしゃなく展開して行く…部屋に海水が、どこからともなく浸水して来た。

ハルはバックを背負うと、自分達がここに来た時に出て来た、一段高くなっている場所へと移動した。

浸水速度は恐ろしく早く、もう自分の胸の辺りまで来てしまっていた…

すぐに浮力で体が浮いてくる。

足をバタバタさせていると、クツが脱げた。

「バックに入れた方がいいね、クツ」

ニッコリ笑って、ハルが二人分のクツをバックにしまった。

それから、自分が立ち泳ぎをしなくてもいいように脇を持ち上げて、なるべく高い位置にしてくれた。

「ありがとう…」

実は、泳ぎが得意な方ではなかったので助かる。

「…ハル、これが呪文だから…二人でやってみよう。どちらかがもしかしたら、かけれるかもしれない…」
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