海の花は雪
…深谷君と修子ちゃんを、置き去りにして来た事実が容赦なく自分を責め立てていく…

さっき鳴ったタイマー音が、何を意味していたのか…分かっていても、分かりたくなかった…

大丈夫な…ハズがない…

そう思った瞬間、体が震え出して涙が勝手にあふれてきた…

「…ハル…君…誰のせいでもない…二人なら大丈…」

山形さんが、言いかけた言葉を止めた。

気になって、目をおおっていた腕を外して山形さんの方を見ると、呆けた顔をした山形さんの姿が目に入った。


「…ハル、お帰り…皆も無事で…」

…え?

「本当に、皆さんご無事で何よりですね〜」

…え?!

いるハズのない人間の声が、頭の上から降ってきた…

二度と聞くハズのない、人の声が…

「…深谷君?先生?どうしてここに?!」

ガバッと勢い良く起き上がると、自分は信じられない光景を目の当たりにした。
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