海の花は雪
良く見ると、いつの間にかリビングに通じる扉が開いていて、その扉の向こうには、心配顔の深谷君と満面の笑みを浮かべた修子ちゃんの姿があるではないか?!

「はぁ…良かった…」

疑問よりも先に、安堵が勝ち…自分は再び床の上に崩れ落ちた。

「ハル?!大丈夫?どこかケガでもした?」

深谷君が心配そうに近づいて来ると、しゃがみ込んで手を伸ばしてきた。

自分はその手をつかむと、深谷君に笑いかけた。

「…生きてて良かった…すごく心配したよ」

「ハル達もね…心配かけてごめん」

安心させるように、深谷君がかすかすに笑った。

その表情は、どこか疲労のあとが残っているように見え…

「…いったい何があったの?」

「…」

深谷君は答えずに、遠くの方を見た…

「なに呆けているんですか〜?ユラ…幽霊じゃありませんよ〜?」

修子ちゃんが、隣でフリーズしている山形さんに向かって声をかけた。

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