海の花は雪
「さて…生島君、動けるようでしたら、そこの山形さんをお願い出来ますか?そろそろ帰りましょう」

高田さんを抱きかかえたままの格好で、修子ちゃんが言った。

「分かった…」

自分はのろのろと立ち上がると、山形さんに声をかけた。

「山形さん、立てますか?」

山形さんは呆けながらも小さくうなずくと、自分の手を借りて静かに立ち上がった。


その後の展開は早く…

長居は無用と言わんばかりに、深谷君と修子ちゃんのきびきびした指示の元、帰還の準備が行われた。

図書館の書庫への扉を開いたのは修子ちゃんで、

「私、今なら何でも出来そうですよ〜」

などと言いながら、スラスラとメモ用紙も見ずに呪文を唱えると一発で呪文を成功させ、無事書庫に帰って来る事が出来たのだった…

すご過ぎる…さすがわ天才ルド様…



「はぁ〜皆さん、お疲れ様でした。すみませんが高田さん、そろそろ放して頂けませんかね〜?」


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