海の花は雪
外に出ると、もうすっかり夕暮れ時で軽いショックを受けた。

まだ、1・2時間しか経ってないのに…さっきまで朝だったのに…

つくづく浦島太郎の気分って、こんな感じだったのかな…何て思いながら、夕日の差す校舎の間を通り抜けて、用務員室にたどり着いた。

その頃には、高田さんもだいぶ復活したみたいで、率先して合宿所のシャワールームの鍵を開けたりしてくれた。

「どうぞ、ごゆっくり…」

「あれ?高田さんは?」

「私は用務員室のシャワーが、ありますから」

「ああ…なるほど」

はかなげに…かろうじて微笑した高田さんの顔を見て、ナゼかホッとした。

…全員…本当に無事に帰って来れたんだな…ってゆー実感がわいたせいかな…?




山形さんを合宿所に引っ張って行って、シャワールームの個室に押し込むと、個室に入って行く深谷君と目が合った。

「…ハル、何か思い出した?」

「ううん…深谷君は?何か思い出した?」

「…後で話すよ…」

「うん…」
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