海の花は雪
クーラーの効いた用務員室に戻ると、ちゃぶ台には温かいお茶が出されていた。

「ジャスミン茶を入れてみました。消化にいいんですよ」

高田さんが中国風のポットを置きながら、説明してくれた。

「高田さんは、お茶に詳しいですね」

山形さんが、お茶を口にしながら言った。

自分も一口飲んでみると、とても良い香りがした。

「高田さんはお茶好きで、常備十種類はそろっていますよね〜?」

「いやはや…実はこの間ついに、中国茶に手を出してしまいましてね〜」

楽しげに話をする高田さんと戸川先生をよそに、ハルはジャスミン茶が気に入ったらしく、美味しそうに飲んでいる…

「…8時かぁ…」

自分は、このまったりリムードに水を差すように、かけ時計を見ると呟いた。

…つくづく今日は、ハルの家に泊まる事にしておいて良かった…

とは言え、明日は夏休み中の登校日だ…出来れば、今日中に話を終わらせてしまいたい…

自分のしてしまったミスを話す事にしか、ならないんだけど…
< 205 / 369 >

この作品をシェア

pagetop