海の花は雪
「それで…戸川先生、いったいどうなさるおつもりですか?深谷君の、ウロコの件を…」

高田さんが、核心にふれる質問をした。

「そうでした!色々あって、すっかり忘れていましたけど、もう一度、宮殿に行く手立てはあるんですか?しかも本の内容が消えちゃったら、もうウロコを消す事は不可能なんじゃ…」

僕がそう質問すると、心なしか、深谷少年がヘコんだ気がする…

「修子ちゃん…どうやって、また図書館に行くの?魔法はもう使えないでしょう?」

今度はハル君が、とどめを刺すような質問をした。

「ええ〜それでしたら、問題ありません…ルドの記憶をかなり思い出したおかげで、正確な呪文が分かりましたのでね〜」

「おぉ…そうでしたか」

「さすが修子ちゃん、抜目なしだね」

「助かります…」

高田さんとハル君と、深谷少年が感心している中、今度は僕がヘコむ番になった。

…不確かな呪文を本に載せてしまった軽率さを、指摘された気がする…

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