海の花は雪
「残念ですが、自分のは見えません…ただ妻が昔、゙あなたの後ろに、海が見えるわ…゛と言われた事がありましたね…」

「え?高田さんの奥さんて、見える人だったんですか?」

僕は意外な事情に驚いて、聞いてしまった。

「ええ…この能力は、亡くなった妻からゆずり受けた感じでしてね、ははは…」

ヤバッ…今度は僕が地雷を踏んでしまったようで、その場が凍りついた…

「そっか〜…という事は、オレにとって高田さんは、前世のお父さんだったって事ですよね〜」

ハル君が場の空気を無視して、明るく穏やかに微笑んだ…

助かるわ〜ハル君〜

「そうですよね!そう考えたら、楽しくなってきました私〜」

「感動の親子の再会ですね〜深谷君」

目頭を押さえた戸川先生が、深谷少年に同意を求めた。

「…」

何とも言えない顔をして、少年は戸川先生から視線をそらした。
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