海の花は雪
「…深谷君、おはよう…」

「…おはようございます、山形さん…ちょっといいですか?」

夏休み中の登校日は、短縮授業で終わり、お昼前には生徒の大半は下校していた。

部活をしているクラブはあまりなく、自分はオケ部での簡単なミーティングをすませると、そのまま用務員室に向かった。

高田さんはおらず、上がって待っていると、山形さんがけだるいムードをまとわせながら現れた。

「…深谷君、一人?僕も深谷君に聞きたい事があるんだけど…」

「…もしかして、山形さんも、あの夢見ましたか?」

山形さんは、ちゃぶ台に肘をついて、自分の方へ顔を寄せるとボソリと言った。

「…ついさっきまで、寝てたんだけどね…一番最後に見た夢の事かな?」

「たぶん…ハルが夢を見ない…というか、思い出さない理由って…」

「十中八九そうだろうね…僕は知らない事実だったんだけど…あれはロイズ目線だったなぁ…」

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