海の花は雪
『さわがしいと思ったら、思ったら…』

『おぉ…おぉ…人間じゃ…』

『かいてー人だ…なつかしか、なつかしか〜』

『せん年ぶりに見たかいな〜?いや、一おく年ぶりじゃろて〜』

『生きとっと〜ね〜まだ〜』

『はじめて見るだにーめずらしかーめずらしかー』

何やら、どこのなまりだか分からない言葉が、自分の中に伝わってきた。

「ふ・深谷君、オレ今、エイの声が聞こえた気がする…」

「うん、聞こえた…」

あの本に書いてある通り…海底人は、いくつかの種族の生物と話が出来るらしい…

「…こんにちは…ここから一番近い陸地に行きたいのですが、教えてもらえませんか?」

自分の声が届いてくれる事を祈りながら、エイ達を見つめた。

『おぉ、りくにいくのかえ〜?』

『いそいでおるんか〜ならわしらに、のっていくといい〜』

『おぉ…そうじゃ〜のってけ〜のってけ〜』

エイ達の返事に、ハルと目を見合わせた。

「…オレ達かなりツイてるね、深谷君」

「うん…」
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