海の花は雪
「…で…?」

「あ…えっと…OK…」

半分おどされているような気分で、オレはそう答えていた。

ヘビに、にらまれたカエルの気持ちが、少し分かった気がする…

「…そうか…じゃあ、そういう事で、よろしく頼む…」

女史は無表情に、そう捨てゼリフを残すと、さっそうと教室を出て行った…

気づくと、教室内がシーンと静まり返っていて…たった今、オレの目の前で起こった出来事に、釘づけになっていた…

うわ〜結構人、残ってるわ〜

「…おい、今のは、オレの目と耳の錯覚か?」

やっと口がきけるようになった中屋が、そばにいたミッチーにたずねた。

「…」

ミッチーは、いまだ呆然として、現実を受け入れられないらしい…

「…真に信じられない事だが…俺にも、そう坂神女史が言ったように聞こえた…付き合わないか…と」

頭を整理しながら、ミッチーの代わりに来生が答えた。

「ははははは…」

オレは笑って、ごまかすと荷物をつかみ、そろりそろりと、その場を立ち去ろうとした。
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